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【バウの道中記】2008年10月15日  武蔵野  月笑庵

【こころの意味】

「こころと言うのは、どんな意味があるんですか?」

これは、私に会いに来てくれた30代の男性との会話の一節です。
彼は、日頃からいろんなプロジェクトをやっている人で、それらの節目ごとに私に相談を持ちかけてくれる仲で、つい先日も二人で話しをしたのですが、その話しの中で私に向けての問いかけでした。

「バウさんはこころと言うものがどんな意味をもっていると思われますか?」
それっていろんな答え方があるんだけど、どの角度からの答えが欲しいの?

「今まで、いろんなことをやって来たり、スピリチュアルなことも体験したりしてきたんですが、つまるところいつもそこに行ってしまうんです。こころってどんな意味があるかってとこにです」

じゃあ、究極の答えから言ってみようか。これって「あっけらかん」に聞えるだろうね! こころには意味が無い。ってことだよ。

「えぇ〜意味がないんですか?・・・いや違うんです。こころの持っている意味を聞いているんです。ないはずがないと思うんですけど・・・」

面白いことを言うんだね。意味があるかって聞かれたんで意味は無いって答えてるんだよ。じゃぁ、このコップを見てごらん。このコップの意味を言い当てることが出来るかな?

「えぇ〜このコップですか?水を飲むためにあるんです。それが意味だと思いますが〜。」

それだけで十分な意味になっているのかな?その説明だけで、すべての意味が出そろっていると思ってるの?

たとえばこの中の水だけど、一部は利根川の上流の巻機山の辺りから流れて来て、それとちがう一部の水はもっと下流の月夜野の辺りから流れて来たものかも知れないし、水道管のトンネルに入って行く直前の浄水場のプールに降って来た雨も入っているかも知れない。ほらほら、この部屋の湿気が一緒に入ってるかも知れない。

このコップの中の水だけでも「意味」はたくさんあるんだよ。それを飲むもんですだけで意味を通そうとするのはしんどいね。

「と言うことは、こころっていろんな意味があるから説明しようがないということですか?」

そうじゃない。「意味」という意味を考えなさいということだよ。
「ややこしいですね!意味と言う意味ですか?」

そうさ、人の生き方を一番ややこしくしているのが、意味を知りたいという欲求なんだ。その「意味」が少し分かっただけで、大抵の人はすべてが理解出来たと勘違いして生きてるんだよね。

これって、おかしいと思わないか?たとえば、1兆分の1の「意味」が分かって、あぁこれで私はすべてを理解できたって思ってるんだよ。

こころって意味は無いと言ったのは、意味という言葉で表現出来るものではないってことなんだ。言葉をいくら選んで繋げて行っても、こころを語ることは出来ない。言葉には限りがあるってことだよ。

たしか、老子か荘子がそのことを伝えていたよね。無限のものを有限のもので伝える事は出来ないって。かしこい人はそのことを言葉で理解しようとしないって言ってたように記憶してるんだけど。

「と言うことは、こころってどう解釈したらいいんですか?」

私が今この時点で分かっていることを言わせてもらうと、こころを言葉で意味付けをしたり、少ない情報で思考を重ねてもまったく違うものになるとおもっている。

こころは「あるがままの直感」という言葉を使うと近いと思っているんだ。

思考にも言葉にも時間にも空間にも体験にもたよらない「あるがままの直感」
というものに出会うと、そこに無尽蔵な領域があって、そのもの自体が宇宙であるし、ひとつひとつを集合体にしたすべてであって、こころでもあるってことかも知れないと感じてるんだ。

「あるがままの直感」。そこには意味するものが無い。意味という言葉で説明できるものが無いってことなんだ。

ちょっと違った言葉に聞えるかもしれないけど「意味」という言葉を「数学」という言葉に変えてみるとよく分かるかも知れないね。

こころってものを、数学の数式で表すことが出来ると思うかい?
それと、よく似たもんだと考えたらいいと思うんだ。

小賢しい人は、意味を説明するかも知れないが、ほんとうに賢い人は意味を探さない。ただ、あるがままの直感で感じるだけでいいんだ。

 
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