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バウの道中記 2006年8月1日 松江


【広島灯籠流し】

「もしもし、下井さんお久しぶりです。年に一回電話するバウです」
「あぁ〜 バウさん久しぶりです。今年もよろしくお願いします」
「こちらこそ!今年もカヌーで入って行きますので、よろしくです」
「あっそうだ!バウさんにお願いがあったあった。何年か前に頂いた
  元火のランプから灯籠に移す時に使う、和ろうそくをまたお願いし
  たいのですが・・・」
「下井さん!光栄です。承知しました。和ろうそくは私の方で手に入
  れて、平和公園に持ち込むようにします。当日でいいですか?」

下井さんは、原爆が落とされた日まで広島で一番の繁華街であった今の平和公園の中で生まれ育った人物で、数年前まで暴走族との問題で大騒ぎだった街を、彼が中心になって一人づつどんどん説得して行き、たくさんあった暴走族をひとつ残らず解散させていった人物でもある。

やはり、命をかけた『おじさん』には、思う存分生きる力がみなぎっているからおもしろい。

今年も8月6日がやってくる。その日夕方から行われる『広島灯籠流し』
その実行委員会の重鎮の下井さんとの打ち合わせから、今年も私なりの『ヒロシマ』が始まった。
http://www.urban.ne.jp/home/tourou/index.html

私と灯籠流しの出会いは、20世紀最後のカウントダウンの大晦日の夜に、20世紀最大の悲劇となった『原爆の残り火』を使って日本各地でキャンドルを灯して欲しいと言い出して、一年かけて日本各地の92カ所に分灯して廻った時からの付き合いだ。

この時は異例中の異例が立て続けにおこって、毎年夏しかやってこなかった京都の大文字焼き、鞍馬の火祭りなどの点火式にも立ち会わせて頂けた。
それまでの広島の灯籠ながしの元火は、平和公園の中にある『平和の火』を採火していたのだが、下井さんたちが奔走してくださって、21世紀からは福岡県の星野村に永久保存されている『原爆の残り火』を種火として使わせて頂くことになった。
http://www.mfj.co.jp/hoshino/rekisi/index.html

今年も私は原爆ドーム前あたりで岸に引っかかったり、ロープに引っかかる『とうろう』たちを、元安川にカヌーを浮かべて、静かに水先案内役をやらせてもらう。
元安川の水面に浮かぶ『とうろう』たちは、毎年私のこころをぎゅ〜とつかんで離さない。
「おかあさん わたしもおばあちゃんになりました」
「私だけは 絶対に戦わない」
「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。
国の交戦権は、これを認めない。」

元安川の川面はまた数千人の人たちが水を求めながら最後の場所となった経緯もあって、なかなか緊張感がある。流れる『とうろう』と『とうろう』の隙間から、その当日の悲劇の声と姿を見て取れるからだ。

今年も元安川の川面で・・・
全てが穏やかになりますように・・・
 
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