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TOP > バウの道中記 > 2008/7/16
 

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 point 【rain-bow】
 point 【714Xと6人の医師】
 point 【古代への旅】
 point 【Pastime】
 point 【18のバス停】
 point 【I Thought About You】
 point 【HOMEに帰ろうぜ】
 point 【山月記に学ぶ】
 point 【風 散々と】
 point 【これで、いいのだ!】
 point 『注文の多い料理店』
 point 【曼珠沙華】
 point 【きつねの夕食会】
 point 【キラリ 札幌地下鉄】
 point 【ゴキブる】
 point 【水道水を飲む】
 point 【夏休み】
 point 【ガイア セブン】
 point 【田んぼの中の露天風呂】
 point 【父は空 母は大地】
 point 【ラジオの話し】
 point 【よければ一緒に】
 point 【シベリア鉄道】
 point 【1分で充分だった】
 point 【病みながらも生きて行く】
 point 【がんの催眠療法】
 point 【テニアン島の怪】
 point 【東京銭湯】
 point 【12月の雨の日】
 point 【しあわせって・・・】
 point 【ダダ・チャイルドの明輝人くんへ】
 point 【犬のようちえん】
 point 【東京タワー】
 point 【希望は踊っている】
 point 【Slow Dance】
 point 【道頓堀でカヌー】
 point 【野の花診療所】
 point 【バウ塾】
 point 【ジョン・レノンな私】
 point 【もっとCM見ようね】
 point 【朗報・みっつ】
 point 【あやまりの旅】
 point 【地球をいやそう】
 point 【言葉が消えた・・・】
 point 【四国から・・・】
 point 【3つのビルの謎】
 point 【聖地・チベット】
 point 【事業仕分け】
 point 【途中退席賞】
 point 【ノーナプキン】
 point 【船首漂着】
 point 【大ボラを吹く人たち】
 point 【きづきの瞬間】
 point 【LOVE ME TENDER】
 point 【親子3代つながった】
 point 【水虫の唄】
 point 【自分の足で】
 point 【あの純真さに学ぶ】
 point 【おいしいコーヒー】
 point 【何を目指したか】
 point 【ダムのない川】
 point 【愛おしくて】
 point 【タタの面白さ】
 point 【15秒のCM】
 point 【REGEND 重い扉】
 point 【起業課を新設】
 point 【開け!にっぽん】
 point 【ピンポン!】
 point 【夢から一歩】
 point 【名人戦】
 point 【セバスチャン氏との出会い】
 point 【やっぱカヌーだよ!】
 point 【カナダセミナー報告】
 point 【希望への讃歌】
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 point 【Muzinzo vol.1】
 point 【MOXとCANOE】
 point 【地球マンの声】
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 point 【無為自然】
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 point 【類は友を呼ぶ】
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 point 【てるりん慕情】
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 point 【カナダ報告2】
 point 【どんでん返し】
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 point 【カジカ鳴く夕暮れ】
 point 【日の目を見る】
 point 【うぶに還る】
 point 【純真な動き】
 point 【ぼ〜っとする】
 point 【常温核融合】
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 point 【カナダ報告】
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  【道後準備会】
  【竹炭名人芸】
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【バウの道中記】2008年7月16日  武蔵野  月笑庵

【カジカ鳴く夕暮れ】

先日『クライマーズ・ハイ』と言う映画を観てきました。

この映画を知ったのは、一月程前のことで、それ以来、私は観に行くか、 やはりやめておこうかと、さんざん迷った末に封切り日前日にやっと行く ことにした、言わば、いわく付きの映画だったのです。

と言うのも、この映画の背景となった御巣鷹山の日航機墜落事故は、私に も、当事者と言える一面があって、なかなか思い出したくない惨めなこと もたくさんあって、観にいくかどうかと真剣に迷っていたからです。

1985年8月12日のことは、今でもはっきり覚えています。

今から23年前。この日は熱く、私は埼玉の深谷にある大手家電メーカー の設計室で、新しく出来るテレビの打ち合わせをしていました。

その当時の私は34歳で、今の私からは想像もつかない、バリバリのとあ る企業の営業部長でした。毎日大手企業のデザイナーや設計マンに囲まれ て、新しい技術を開発して、製品化に繋げて行く仕事に没頭していました。

この日の会議は、発売まじかの製品に重大な問題がある事がわかり、それ を発売日を変更しないで、できるだけ設計変更を少なくしながら問題を回 避して行けないかという会議で、朝から始まった会議は夕方の6時ごろに 終わり、その結果、私が請け負わされた仕事は、翌朝までに新規に決まっ た部品を納入するというものだったのです。

夕方に決まったモノを、その翌朝に納入する。この頃の私はそんなことば かりをやらされていたように思うのですが、私は何の不思議もなく、いと も簡単にそれらの業務をやり抜いていました。

この日会議が終わり、急遽私が電話でこの仕事をお願いしたのが、深谷か ら15キロほど西の児玉にある町工場だったのです。

この町工場の社長が「よ〜し、徹夜でやってやろう」と、心よい打ち合わ せが終わって、まずは腹ごしらえだと近くの食堂に行ったのが7時半頃で した。

この時、テレビのニュースで日航機が行方不明になったと聞いたのです。

このニュースを聞いても、私たちはあまり自分たちの仕事のペースを変え ることもなく、工場に戻り徹夜の仕事に入って行きました。

今でもはっきりおぼえているのが、この食堂から歩いて帰って行く時に鳴 り始めた稲妻の音です。雨はなかったのですが、埼玉の境から群馬にかけ てかなり大きな稲妻が、低音のどどど〜んという音を遠くの山に響かせて いました。

夜中の2時ごろになって、事務所で休憩した時にテレビを見てみました。

その時、墜落現場が群馬か長野か山梨か埼玉あたりかも知れないというこ とだったので、これは案外近くかも知れないと思い、それからは工場の中 の古ぼけたラジオをつけてニュースを聞くようにしていました。

朝方5時近くになって、仕事が一段落して落ち着いて事務所でテレビを見 ることにしました。その辺りから墜落現場は、群馬と長野の県境だとニュ ースが流れはじめたのです。

ヘリから映された墜落現場の映像。長野側から、群馬側から出発する救援 部隊。その最前線とされる上野村の役場あたりの映像・・・・・。

それらの映像を見ながら、顔だけは社長の方に向けて不自然な姿勢で黙っ ている私に彼が言い出したのです。「上野村だったらここから1時間で行 けるぞ!」「行きたかったら行っといで。納品はこっちでやっといてやっ から」

彼は、一晩で私がすこしづつ何かを感じて変化して行く様子を見てくれて いたのです。私はこの言葉を聞いても、なかなか動く気配を示せないでい たのですが、彼の次ぎの言葉で大きく言えば、人生を変える瞬間に出会え たのかも知れないと思っています。「お前は、馬鹿かぁ〜〜〜!」

7時ごろから上野村に向けて出発しました。児玉あたりから上野村の方角 を見ると、すぐに秩父と上州をつなぐ山並みが見渡せるので、以外と早く 着けると思っていたのですが、山並みの中に入って神流川(かんながわ) に出会う辺りから、消防車や救急車やパトカーや自衛隊の車が多くなって、 結局上野村の役場あたりに車を止めたのが9時を過ぎた頃だったと思って います。

ちょうど役場の方から地元の消防団のような人たちが出て来て、神流川の 上流の方に移動するぞと言う言葉を聞けたので、私もその集団に混じって、 彼らの後を追いかけることにしたのです。

上流の車止めの端っこの方に車を止めて、走って彼らの元へ近寄った時に、 その中の一人が「ホイ、これ、持っとけ」と言って、おむすびを一つくれ ました。

このおむすびが、それまで私を惑わしていた、あいまいなものを一瞬にし て取り去って、私をこの集団の仲間に取り込んでくれたように思えて、こ の時はじめて私は本格的に山を入る決心をしたのです。

山道はつらかったです。結局、私はこの集団から外れてしまって、一人で 前の人が登った跡を探しながら登って行ったのですが、一時間程度、道に 迷ったあげく、横の峰の方から違う集団の声が聞えて、その集団に助けら れました。

これは、今まで誰にも話さなかった事なんですが、後から登って来た集団 の人に発見された時、その中の一人が真剣なまなざしで「助かってよかっ たですね」と言うのです。

すぐにこの言葉の意味が分かったので訂正したのですが、その時の私の顔 は悲壮なもので、山の中で、こめかみのあたりに枝が突き刺さり、首から 胸にかけて服の色が血の色に染められたいたのです。そんな姿の私を見て、 この人は墜落現場から奇跡的にここまで降りて来た人に違いないと思った らしいのです。

この集団に囲まれて、山を登って行くと、とうとうその場所らしき所に差 し掛かりました。上空には何機ものヘリコプターが大きな円を描いて旋回 していて、その円の中心の位置が容易に想像出来るようになったのです。

その場所へ近づくにつれ、今度は私の心が、怯えを感じはじめたのです。

一人づつ、列の後ろの人に抜かして行ってもらい、その場所に着いた時は 私は列から離れて、一人になっていました。そしてそこから一歩も先に動 けなくなってしまったのです。

時間にして30分ぐらいだったでしょうか、ここまで来たのに、その現場 に一歩も踏み入ることが出来ない自分が情けなくなり、それと同時にいろ んな心境も重なって、とうとう泣きはじめてしまったのです。

ところが、30mぐらい上の方を見たら、私といっしょのような感じで泣 いている人を見つけたのです。しばらくして、その人は下の方の私に気づ いたようで、泣きながら私にこっちに来いという仕草を見せました。

そこから、二人でまだ誰も入ってなさそうな場所で捜索を始めたのです。

捜索と書きましたが、私たちは、正確には捜索にはなっていなかったと思 っています。生存者を探すのでもなく、ボイスレコーダーを探すのでもな く、ただただ、そこにあるものを見つけていただけなのです。

枝に引っかかっているズボンの一部。服があると思って持ち上げたら、そ の下からあらわれた遺体の脇の一部。手首。むすび目だけのネクタイ。こ こには、とうてい書ききれないものばかりでした。

3時間ぐらい経ったでしょうか。下の方で連絡班のような人たちが下山す るような動きに見えたので、私も一緒に下ることにしました。

この下山した時の記憶はまったく残っていません。たぶん、下山途中の風 景や石ころなどをまったく見ないで、頭の中が墜落現場のことでいっぱい だったからかも知れません。

山道を下っていたら、急に目の前に私の車が出て来たので、私は倒れるよ うにその中に入って、しばらく運転が出来ない状態でいました。

しばらくして、私は神流川の流れが見える場所まで移動して、川に入るこ とにしました。

この神流川は関東で一番美しいと言われている川です。川幅は約50M。 川の深さは、どこを見ても水深10センチ程度で美しい玉石が川底に待ち 構えています。

川の真ん中あたりに来た時でした。背中あたりから震え出したのです。 震えは、背中からすぐに肩に届き、すぐに指先まで震えが止まらなくなり、 最後に足の先まで震え出したのです。

私は、神流川の上流に頭をむけて、川の中に寝転びました。そして全ての 力を抜き去りました。そして、全身全霊で謝ったのです。
『何も出来ずに す ま ん』

いちだんと薄暗くなった神流川の渓谷いっぱいに、カジカの鳴き声が響い ていました。ふと、ズボンのポケットに手を入れたら、朝もらったおむす びが平べったいお餅のようになって出て来たのです。

これをお供えにして、もう一度、浅い川底の玉石まで顔をつけました。

今年も、そろそろカジカの夕暮れの鳴き声が聞ける季節になりました。
あの時から、私たちの成長を待ち望んでくれていた、神流川のカジカたち に、今年は会いに行こうと思っています。

この御巣鷹山の事故から5年目の年に、御巣鷹山近辺の山地図を手に入れ て、等高線の一本一本に、きれいな色を塗って、額に入れて慰霊碑まで持 って行く機会がありました。

その時に思ったのですが、御巣鷹山は、いわば私の原点なのかも知れませ ん。山を敬うこころ。水に親しむこころ。山やとしてのキャリアの原点な ど、なによりも、この日の貴重な経験を境に、それまでとは違った価値観 に目覚めた『自分が生まれた』からです。

ps. 御巣鷹山の正式名は、高天原山(たかまがはらやま)です。

『日航機事故にあった小中学生48人』1985年8月25日朝日新聞
http://www.geocities.jp/joox_tv2/jal123/kaeranai.jpg

ジオグラの映像:
http://vision.ameba.jp/watch.do?movie=227467

街中の生活で、カジカの声を聞いたことがない人にプレゼントです。
http://www.asahi-net.or.jp/~yi2y-wd/a-kaeru/kaeru-kajika.html

 
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E-mail:bow@peace2001.org