インパク会場 カンボジアから帰って来て、あっという間に1ヶ月が過ぎてしまいました。この間、新聞、雑誌などにカンボジアのことを発表してきたけれど、このサイトには少し肩の力を抜いた写真ルポを書いていこうと思っています。あちこちに話は飛ぶけれど、私が見たまま聞いたままの「ナマ・カンボジア」をお届けします。お楽しみに。

 

「リサイクルはさせない」

 地雷を見つけたら、ひとつひとつ火薬をしかけて爆破処理する。
 なんだかめんどくさいなあ、と思ったけど、爆破してしまうのが一番処理として安全だし、地雷のリサイクルをさせないための方策なんだそうだ。
 地雷撤去によって回収された地雷が、再び別の場所で(クメール・ルージュなどに)地雷として使用されたりするのを怖れて、カンボジア政府はシーマックという政府の地雷撤去機関以外の者が地雷撤去をすることを禁止したそうだ(ヘイローのようなNGOを除く)。
 カンボジアを40日間ほど取材した作家の船戸与一さんによれば「去年、数ヶ月に渡ってシーマックの作業員に対して給料が未払いになり、撤去作業が中止された。しかし、日本では去年だけでも10億円近い金を地雷撤去という名目で政府に渡しているのに、その金はいったいどうなってしまったのだ。これに関してフン・セン政府の説明はない」とのこと。
 吉村さんが「支援金を政府に渡すのは危険、NGOの方がずっと信頼できる」というのは事実のようだ。
 だけど、船戸さんによるルポでは「ヘイローのようなNGOも、カンボジアでは活動がしにくい状況があり、縮小している」とのこと。
 それはカンボジア政府が「地雷撤去」という人道的名目で、世界の先進国からお金を自分の懐に集めたいからだろう。経済の復興の見通しが遠いカンボジアにとって、地雷は半永久的に埋まっていて欲しいものなのかもしれない。
 だけど、それではいつになったら自力で国を再建する気なのか。この政府の展望のなさが、カンボジアの若い人たちを、かなり失望させていた。

 


発見された地雷は、火薬を使い爆破処理を施す。

これまでのルポ
カンボジアは水の都だった
わからなくても真面目に
共産圏の地雷
地雷を踏むような気がしてしょうがない
リサイクルはさせない
マラリアになったらタイに行け
地雷原の小学校
ここがポル・ポトの墓だ

アンコール・ワットは水の都
タ・プローム遺跡の巨木たち
一人できる!の実践者

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文:田口ランディ


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